こんにちは、カリフォルニア在住のひっきーままです。
アメリカのキンダーガーテンとは小学校にあがる前の1年間、5歳になった子供が通う学校です。
通常小学校の敷地の一角にあり、小学校で良いスタートがきれるように準備期間としての学習をします。
公立のキンダーガーテンは無料でうけられますし、5歳になればみんなキンダーガーテンに通っているので、私はてっきりキンダーガーテンは義務教育だと思っていました。
でも最近ある記事を読んでキンダーガーテンが義務付けられているかどうかは州ごとに違うのだという事を知りました。
そして私の住むカリフォルニア州では2022年度時点では義務付けられていないのだそうです。知りませんでした!
今日はキンダーガーテンの義務教育化について興味深い記事を読んだのでその内容をちょっとお話しようと思います。
キンダーガーテンの義務付けは州ごとに制定
マルチメディア教育ニュース組織であるNational Center for Education Statistics の 調査によると、2021年時点 アメリカ全州のなかでキンダーガーテンを義務付けている(compulsory)州は半分にも満たないのだそうです。
National Center for Education Statisticsには各州の義務教育が始まる年齢の一覧があります。(2020年度時点の統計です)
ニューヨーク、テキサス、カリフォルニア州などでもキンダーは義務付けられていないことがわかります。
義務教育化が却下された要因は予算の問題だそうです。
参照
EdSource (https://edsource.org/2022/governor-vetoes-full-day-and-mandatory-kindergarten-bills/678624)
でも、実際には義務であるかないかにかかわらず子供をキンダーに通わせている家庭が大多数です。
キンダーガーテンが義務付けられている州
2022年現在、キンダーガーテンが義務教育となっている州は以下の通りです。
- Arkansas
- Connecticut
- Delaware
- District of Columbia
- Hawaii
- Louisiana
- Maryland
- Nebraska
- Nevada
- New Mexico
- Ohio
- Oklahoma
- Pennsylvania
- Rhode Island
- South Carolina
- South Dakota
- Tennessee
- Virginia
- West Virginia
- Wisconsin
参照
Education Commission of the States
(https://reports.ecs.org/comparisons/state-k-3-policies-06)
キンダー義務付けに関連して学んだ事
キンダーガーテンで1年間学んでから小学校へくる子とそうでない子供を比べると、小学校1年生の時点ですでに大きな差がついていて、長期的にみてもその差をうめるのは容易ではありません。
キンダーに通わなかった生徒には成績の良しあしだけでなく、集中力や学習意欲にも差がみられるということです。
California Kindergarten Associationによると、カリフォルニア州では5%-7%の子供たちはキンダーガーテンに通うことなく小学校に入学しているのだそうです。
小学校1年生の時点ですてに大きな後れを取っている生徒たちは、先に進んでいる生徒とのギャップを埋めれないまま中学、高校へと進んでいくことになる可能性が大きいといいます。
アメリカには数々の有名で格式高い大学がたくさんあるので、みんな小学校からさぞかし進んだ勉強をしているかと思いきや、公立の小学校では本当に基礎的な学習でさえできる子とできない子とのギャップが激しいということは我が子の学校の様子をみても感じるところです。
キンダーガーテンの変化
アメリカでも昔のキンダーガーテンは遊びの要素が多く取り入れられていて、アートや音楽などがもっと重視されていたようです。でも現在は数の学習や、読書、単語のスペルなどにより多くの時間が費やされているといいます。
もっと遊びの要素を取り入れた学習をするべきだという先生方の意見も多くありますが、全般にキンダーの生徒に求められる学力がより高くなってきているようです。これもまたキンダーに通わない子供達との差をますます広げる原因になっているのですね。
経済的格差から生じる幼少期教育のギャップ
低収入層の家庭の子供達はキンダーへ入学しない確率が高いという調べもあります。
その理由として低収入層の家庭の親のほうが教育に対しての関心が低い傾向にあることがあげられます。幼少期にどれだけの教育環境を子供に与えてあげられるかも収入によって変わってくることは否めません。
またアメリカでは所得の差によりその地区の学校の資金調達度もかわりますので、やはり低所得者が多い地域では学校全体のレベルも高所得者の地域に比べると低くなる可能性が多くあります。
住む場所によって受けられる教育のレベルや質が違ったり、日本では考えづらいことがアメリカでは当たり前ということが多々あります。
資金の具合で年間の行事や遠足などできることが変わってくるので、資金調達運動(fundraiser)がさかんに行われています。
私立校ならともかく、公立校においても多額の資金調達をできる学校とそうでない学校があるので差が出てくるのです。
それからアメリカには私立小学校もとても多くあり、ホームスクールという手段もあります。
経済的に余裕のある家庭ではこれらの教育手段を選ぶことによって、より家庭の教育理念や子供のニーズに合わせた教育環境のなかで子供を育てていくこともできます。
親の教育に対する関心の強さや、子供たちに提供できる学習環境のオプションそのものが、高所得、低所得家庭の間では小さい子供の時からすでに差がついているということなんですね。
そういうことを考えると、せめてキンダーガーテンが必須教育に組み込まれ、どの州の子供達も小学1年生を同じスタートラインで始められることにつながるといいなと思います。
まとめ
今日はアメリカのキンダーガーテンが義務教育と指定されているのはすべての州ではないということ、でも全般に義務教育化する方向に動いているのだということ、そしてキンダーガーテンでの1年で習得する学習の大切さをまとめてみました。
それに関連して、アメリカでは本当に大きな問題である、経済格差からくる幼少期の教育のギャップについてお伝えしました。
アメリカで子育て中の皆さんの中にはアメリカの教育に関してたくさんの疑問や質問があるかたもいらっしゃると思います。多くの違いは、日本とは異なる社会背景や文化が関係しているのだと思います。
今回のキンダーガーテンが義務教育かどうかは州によって違うという事実も私にとっては驚きでしたし、変わりゆくキンダーの教育を知るきっかけになりました。
この記事がみなさんのキンダーガーテンへの疑問の一つを解決するお手伝いになれば嬉しいです。
どの県に住んでも同じレベルの(しかも高レベル)の教育が同じように受けられるという、日本では当たり前のことが実は素晴らしいことだったんだな、と驚かされます。