こんにちは、カリフォルニア在住のひっきーままです。
クリスマスがイエス・キリストの誕生を祝う日だということは日本でも広く知られています。
そして、キリスト教信者でなくても、クリスマスを素敵なお祝いとして楽しみにしている人は多いですよね。
なんとなくワクワクして、寒い冬に暖かい気持ちを運んでくれるクリスマスには素敵な魅力があります。
クリスマスってなんでこんなにも幸せな気持ちになるのか、その秘密がクリスマス・スピリット!
クリスマス・スピリットは、喜びを分かち合う、人をいたわる、というような、人として大切な心です。
私は20年以上アメリカでクリスマスを過ごしています。そしてクリスマスの根底にあるクリスマス・スピリット(クリスマス精神)の魅力を体感してきました。
アメリカでのクリスマスの過ごし方と私の考察を交えながら、人々の心にあふれるクリスマス・スピリットをお伝えします!
この記事は、映画やドラマでクリスマス・スピリットという言葉を耳にして「それは何?」と思ったあなたの疑問にお答えします。
クリスマス・スピリットの意味
クリスマスとはそもそもキリスト教で人類の救世主といわれるイエス・キリストの生誕を祝い、その喜びを世界に伝えようという希望と喜びに満ちたものです。
すべてを犠牲にして人々の罪を許し救ってくれたキリストの栄光をたたえ、自分たちも他人を許し、人に愛を与えようという精神がクリスマス・スピリット。
なので、日本で時々言われる「人に与える」「奉仕の精神」がクリスマス・スピリットだというのは半分当たってますが、それだけじゃないという感じですね。
好きな人と一緒に過ごすこと?
それも大切ですが、それだけでも不十分です。
クリスマス・スピリットは実はいろいろな言葉で表現されます。というか一言では言い表せないんです。
クリスマス・スピリットを表す言葉の数々を集めました。
- cheer & joy (歓声、喜び)
- love & kindness (愛、親切)
- forgiveness (寛容)
- generosity & charity (寛大、慈善)
- togetherness (一緒にいること)
たくさんの言葉がありますね! ひとつずつ解説します。
Cheer & Joy (歓声、喜び)
「Cheers!」といえば乾杯という意味でおなじみですが、cheerには「喝采(かっさい)や賞賛、励ましの声」という意味があります。
Joyは喜び!嬉しい気持ちそのものですね。
クリスマスが明るく、喜びにあふれているのはまさにこの「Cheer & Joy」の精神が根底にあるからだと感じます!
つらいことがあっても、今日ここに生きている幸せ、家族と過ごせる幸せに感謝して喜びの気持ちを持つことは、多くの人々の心を癒し、穏やかにしてくれます。
Cheerというのはこの喜びを大きく体現しているわけです。
ことにキリスト教信者にとっては救世主の誕生ということで、みんなへ届けたい喜びもなおさら大きいものだと理解できます。
Love & Kindness (愛、親切)
言わずと知れた Love & Kindness、愛と親切にする心です。
この Love は、恋人同士の恋愛感情というよりは、人を深く思いやる気持ちを意味します。
なので恋人だけでなく家族や友達を大切に思う気持ちも Love です。
Kindness は、恋人や家族、友人はもちろん、見知らぬ人や好きじゃない人への親切も含みます。
街で困った人を見かけたら手を差しのべる、というようなあらゆる人へ優しさをもって親切な気持ちで行動しようという精神です。
ふと人の優しい愛情を感じる、そしてその優しい気持ちを誰かにシェアできる時って幸せな気持ちになりますよね。
Forgiveness (寛容)
Forgivenessは寛容と訳せますが、明確に言うと「人を許す」ことです。
いやなことを言われたとか、傷つけられたという過去があっても、それを心にいつまでもとどめておいて良い事はありません。
他人を許すことは自分自身を心の苦しみから解放してあげることにもつながります。
キリスト教的には、キリストが人類の罪をすべて許してくれたように私たちも他人を許そうという精神です。
Generosity & Charity (寛大、慈善)
Generosity は寛大、心が広いことです。
経済的にも寛大であるという意味に用いられることが多く、その場合は「気前が良い」とか「ふとっぱら」ということになります。
Charity は慈善、他人に情けをかけて援助を与えることです。
貧しい人や困難な状況にある人たちを救済する活動などによく使われます。
Togetherness (一緒にいること)
家族や友人など大切な人と一緒にいることもクリスマスの精神のひとつです。
Togetherness とは一緒にいることを意味しています。
大切な人を思い、ただそばにいるというだけで幸せを感じることありますよね。
ちょっと顔を見に行ったり、少しでも話をする時間を作ったり、一緒に過ごす時間を作ることはとても大切にされています。
このようにクリスマス・スピリットはいろいろな角度から語ることができます。
どれも素晴らしい精神ですよね!
「喜び」や「人を思いやる気持ち」など、人としてとても基本的で大切な心を見つめなおして、それを表現することこそがクリスマスに大事なことなんだと私は今までの経験から理解しています。
キリスト教じゃなくてもホリデーシーズンを祝う
クリスマス・スピリットはキリスト教がもとにあることは先に述べたとおりです。
でもアメリカには様々な宗教や価値観をもつひとたちがいます。
私の周りにもヒンズー教、仏教、それに無宗教のひともいます。
彼らはクリスマスそのものを祝うことはなくても、やはりこの時期はどこか楽しそうにしています。
日本でも同じですね!
アメリカではこのクリスマス前後の時期はホリデーシーズンと呼ばれます。
宗教にかかわらず、人をいたわる親切な気持ちと喜びを分かち合う精神は大事にされています。ホリデー・スピリットとよばれたりもします。
クリスマス・スピリットが光る行動
こんなに素敵なクリスマス・スピリットを胸にアメリカの人たちが実際にどんな行動をしているのか、クリスマスシーズンによくあるイベントやエピソードを紹介します。
Cheer & Joy の行動
クリスマスの飾り
まずは家中のクリスマスの飾り付け!
大きなクリスマスツリーがどーんと家の中に置かれ、キラキラと輝くオーナメントの数々を家族みんなで飾り付けていきます。
飾り付けるのは家の中だけではないんです。アメリカのクリスマスは各家庭のお庭が、たくさんの置物やクリスマスライト(イルミネーション)で飾られます。
この時期、どの通りでも日が暮れると多くの家の飾りがキラキラ輝きだして気持ちも明るくなります。
ちょっと外を歩くだけでもクリスマスの楽しさを体感できて、私はこの時期の夜のお散歩が大好き!
クリスマスカード
お友達にも素敵なクリスマスであるようにクリスマスカードを書いて送るのも喜びを分け合う精神の表われです。
いつもお世話になる人たちだけでなく、久しく会ってない友達にも近況を伝えたり相手の健康や幸せを願う言葉をそえたりします。
日本の年賀状とよく似ていますね!
年賀状はおもちや干支の絵柄が多いのに比べ、クリスマスカードはクリスマスツリーや雪だるま、サンタクロースなどの柄がダントツに多いのが違うくらいです。
クリスマスソングを歌う
なによりの cheer はクリスマスソングを歌うこと。まさに喜びの表現です!
ことにキリストの誕生を祝うことがテーマになっている伝統的で宗教的なクリスマスの歌をクリスマスキャロルと呼びます。
日本でもなじみのあるクリスマスキャロル
- Joy to the World(もろびとこぞりて)
- Silent Night(きよしこの夜)
- Angels We Have Heard On High(あらのの果てに)
クリスマスキャロルは日本人にはあまりピンと来ないかもしれませんが、アメリカではクリスマスシーズンになるとどこからともなく聞こえてきます。
アメリカでおなじみのクリスマスキャロル
- O Holly Night(さやかに星はきらめき)
- Deck the Halls (ひいらぎかざろう)
- O Christmas Tree (もみの木)
- O Come All Ye Faithful(神の御子は今宵しも)
- Hark The Herald Angels Sing(天には栄え)
地域での子供たちを集めてのクリスマスイベントなどでもよく歌われます。
- クリスマスキャロルは耳に残りやすく音楽は覚えやすい。
- でも歌詞が難しくてわかりにくい。
何度聞いても歌詞を覚えられないたいていの歌はラララーで歌いとおします!
たいせつなのは完璧に歌うことじゃなく楽しむことですから!
今では人気の歌手が歌う「恋人とのクリスマス」の歌がクリスマスソングとして流行っていますね。
私はそれはそれで、信仰に関係なく歌われホリデーシーズンを盛り上げていて、なかなか良いと思っています。
でもいまどきオンラインで簡単にいろんな世界の音楽をきくこともできるので、クリスマスキャロルを聞きながらクリスマス・スピリットを高めてみるのも楽しいですよ。
Love & Kindness の行動
もともとアメリカの人たちは気持ちを言動であらわすことがうまく、家族をねぎらう、ほめる、感謝するというのは普段の生活でも当たり前のように見られます。
クリスマスには家族や友達はもちろん、知らない人にも親切な気持ちで接しようという精神が爆上がりです!
ボランティア
クリスマスには地域の様々なイベントでボランティアの人たちが活躍しています。
ボランティア
各イベントを助けるために自分の時間を無償で提供する行動です。地域に住む人たちのことを思う心のあらわれですね。
カード・プレゼント
この時期特に郵便や宅配の配達員さんには大変お世話になります。
クリスマスカードやオンラインショッピングの品物を届けてくれたりするので、うちにもよく配達に来てくれます。
アメリカではこういう配達員さんに、ちょっとしたサンキューカードやクッキーを渡したりすることがあります。
クリスマスシーズンはgiving & sharingという言葉もよくつかわれます。
Giving & Sharing
嬉しい気持ち、優しい気持ちは人に与える、みんなで分け合うことで一層幸せ度を増します!
プレゼントも、誰かを大事に思う気持ちを品物を贈ることであらわしているのでこのクリスマス・スピリットに結びつくと私は解釈しています。
本当に気をかけている人に愛情や感謝を伝えるためにプレゼントを贈って幸せを分けあうのがアメリカ風。
私の家の近所では、何かとお世話になっているお隣とお向かいさんともクッキーなどを贈りあっています。
うちの娘が一度、児童養護施設の子供たちを集めてのクリスマスパーティーにボランティアで参加した時にこんなことを話してくれました。
その子供たちは、クリスマスに一緒に遊んでくれる人がいる、自分のためにプレゼントを用意してくれた人がいる、という事が嬉しいと喜んでいたそうです。
ホームレスの人達へのふるまい
ホームレスの人たちにブランケットやコートを寄付したり、地域の一角に集めて食事をふるまったりということもよくある光景です。
見知らぬ人にも親切にふるまうのは難しいこともありますが、そこでクリスマス・スピリットがいきてきます。
小さな日常のひとコマに気をかけて親切を行動に
- 街で困っている人を助ける
- 家族にねぎらいの言葉をかける
- いつもなら通り過ぎる工事現場のおじさんにクリスマスカードをあげる
- 会社の同僚にメリークリスマス!と笑顔で挨拶
小さなことですが、いろんな人がいろんなところで優しい気持ちを表現しています。
それが職場や学校、街のあちらこちらでみられるって素敵ですよね。
Forgiveness の行動
Forgiveness、これは言うまでもなく、誰かを許してあげることです。
特に深く傷つけられた相手なら、許すことは難しいですが、怒りや憎しみの感情をいつまでも持ち続けていても心を病むばかりです。
何かに失敗してしまった過去の自分を許すことも、心を穏やかに保つために大切な精神だと思います。
- ケンカしたパートナーと仲直りをする
- しばらく不仲だった友達にメッセージをおくってみる
- 小さなミスを怒らない
小さい事でも勇気を出してやってみる、そんな気持ちになるのがクリスマス・スピリットです。
私はクリスマスの季節だからこそ難しい心の内面にも向き合い、人を許す事にむかって一歩踏み出そう、という意味でとらえています。
Generosity & Charity の行動
日本でも慈善事業や貧困にある人への寄付などをクリスマスの時期に見かけることは多いかもしれませんね。
アメリカでもクリスマスシーズンのチャリティ活動はたくさんあります。
クリスマスのチャリティ
小さなことでも、大きな金額でなくても、なにかしらの方法で世の中の恵まれない状況にいる人たちの助けになろうという気持ちで寄付をすること。
様々な団体への寄付ももちろんですが、寄付できるのはお金だけではありません。
Toy Drive
アメリカでよくあるホリデーシーズンの活動に Toy Drive があります。
学校や商店街の店先などに置いてある大きな箱にオモチャを寄付します。それらは低所得者層の家庭の子供達、孤児院などの福祉施設にいる子供達、こども病院に入院している子供達などに配られます。
もうひとつ我が家が毎年参加しているのが、靴箱にクリスマスギフトを詰めて世界中の子供たちに贈るというプログラムです。
世界のどこかに私たちが用意したプレゼントを喜んで開けてくれる子供がいるのかと思うと私もうれしい気持ちになります。
うちの子たちも「これはどの国に運ばれていくのかな?」とワクワクしてプレゼント作りを手伝ってくれます。
Food Drive
Food Drive には缶詰や袋入りの長期保存できる食べ物を寄付します。
あつめられた食料は低所得者や地域の必要な家庭にくばられます。
アメリカではモノやお金が裕福層から貧困層へ流れる仕組みが割と多くあって、それを利用する人たちも多いという印象を受けます。
Togetherness の行動
これはもちろん、家族でも友人でも一緒に時をすごすことです。
家族全員が集まって大きな食卓を囲んでご馳走をたべるのが習わしです。
おじいちゃんおばあちゃんから孫やいとこまで、大家族になると何十人と家族が集まることもめずらしくありません。
遠方に住む人も帰省するのでクリスマス前後は帰省ラッシュ。
アメリカでは恋人も家に連れていって家族みんなで過ごすことが多いです。
どちらの家に行くかは、結婚した夫婦でも問題になるんですよ。
- 数時間ずつお互いの親の家に行く
- イブとクリスマスに一日ずつ行く
- サンクスギビングとクリスマスにわけてひとつずつ行く
このようにどうやって家族で過ごそうかということを一番に考えます。
まとめ
クリスマス・スピリットがアメリカのクリスマスに深くしみわたっていることを私なりの解釈とともに紹介しました。
キリストの栄光をたたえ喜び、他人を許し、人に愛を与えようというキリスト教の精神であるクリスマス・スピリット。
でも宗教にかかわらず、人として大切な心でありホリデーシーズンにいたるところで感じることができる素敵な精神です。
家族と一緒に飾るツリー、みんなで歌うクリスマスキャロル、そして大勢で日本の正月のように集まって食べるご馳走の数々。
数々のイベントはもちろんワクワクして楽しいものです。
でも、このホリデーシーズンの根底にある「みんなと分かち合う喜び」「許しあう心」「いたわりあう心」が多くの人達に本当の意味での暖かさと幸せを運んでくるのだと実感します。
子供たちにとっても、そんな強く優しく暖かい精神にかこまれて過ごすクリスマスは幸せですよね。
アメリカでクリスマスがこんなにも喜びにあふれたひと時なのは、単にクリスチャンが多いからというだけではありません。
「クリスマス・スピリット」または「ホリデー・スピリット」に賛同する人々が多くいて、それを行動にあらわしているからだというのが私の経験から感じることです。
クリスマス・スピリットを知ることで、プレゼントを渡したり、ツリーを飾ったり、あなたのクリスマスのひとつひとつの工程がぐっと素敵なものになることを祈っています!
スピリットがないと、サンタクロースやクリスマス商戦にまきこまれ「何か知らないけどクリスマスにはプレゼントが必須だから買わなきゃ」になりがち。