こんにちは、カリフォルニア在住のひっきーままです。
アメリカの中学校ではどのような科目が教えられているかご存じですか?
初めての経験であるアメリカの中学校で、授業内容について不安を感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。
日本と同じくアメリカにも必修科目と選択科目があります。
必修科目は日本の中学校と似ていますが、選択科目には興味深いものがたくさんあります!
この記事では私の娘が通うカリフォルニア州の公立中学校での様子をもとに、アメリカの中学校で学ぶ科目とその内容についてじっくりご紹介します。
- アメリカの中学校での授業科目をしりたい
- アメリカの中学校に通う子供がどんな授業を受けているのか知りたい
- アメリカの小学校をもうすぐ卒業!中学校に備えたい
- 日本とアメリカの中学校の授業に違いがあるのか知りたい
アメリカの中学校での授業について理解を深め、あなたのお子さんのサポートにお役立てください。
また「アメリカの中学校!日本とこんなに違う授業・宿題・時間割・成績まで徹底解説!」では日本とアメリカの中学校のシステムやあらゆる面での違いを紹介しています!
アメリカの中学校の必修科目
まずはじめに知っておくべき大事なことですが、アメリカの学校制度は地域によって大きく異なります。
アメリカの全ての中学校で同じ科目を教えているわけではないので、この記事で紹介するのはひとつの学校の例として参考にしてくださいね!
うちの子が通う中学校での必修科目は以下の5科目です。
- English: 英語
- Math (Mathematics):数学
- History:歴史
- Science:科学
- Physical Education (PE):体育
英語、数学、歴史、科学、体育の必修科目は、毎日時間割に組み込まれています。
English: 英語
Englishはアメリカの母国語なので、日本でいう国語と同じですね。
- Reading (読解)
- Critical Thinking(批判的な考察)
- Writing(書く)
- Grammar(文法)
- Speaking(話す)
- Listening(聞く)
など幅広いスキルの向上を目的にしたクラスです。
Readingでは、フィクション、ノンフィクション、詩など、さまざまなタイプの文章を読み、理解する方法を学びます。
登場人物、筋書き、テーマなどの文学的な分析や、詩のスタイルとその理解なども求められます。
Critical Thinkingでは物語や文章を読みながら、問題に直面した場合にどのように考えるかを学びます。
ディスカッションを通じて色々な考え方を聞くことで、自分で考える力を育てることが大事なんですね!
Critical Thinkingとは?
「批判的思考」と訳されますが、これは問題に対して客観的に分析し、論理的に考えるスキルのことを指します。
Writingではさまざまな目的や読者に向けて文章を書く練習をします。
中学校で書くエッセイ(作文)の種類は4つあります。
narrative(物語)・ persuasive(説得文)
argument(論述)・informative(情報文)
自分の考えを整理し、証拠を用いて自分の主張を裏付けるエッセイの組み立て方法を学びます。
Math (Mathematics):数学
中学校の数学は主に代数、方程式、関数、グラフ、確率、統計などについて学びます。
アメリカの中学校では、公式を覚えて早く計算をすることより、問題解決のプロセスが重視されます。
問題を解くための考え方や、なぜその式が導き出されたのかなどの過程をしっかり理解する必要があります。
8年生にはAdvanced Mathコースも提供されています。
Advanced Mathコースとは?
Advanced Mathは、数学で好成績を収めている生徒に推奨されるカリキュラムです。
一般の8年生の数学にくわえ、Algebra(代数)のクラスをとることができます。
このクラスをとることで、高校でより高度な数学のクラスを受講する準備ができます。
その利点は、大学での数学の単位を高校在学中にとり始めることもでき将来的に時間の節約になるからです。
うちの子もAdvanced Mathコースをとっていますが、そのおかげで通常の8年生の数学の授業もよくわかると言ってます。
History:歴史
うちの子の学校では7年生がWorld History、8年生がAmerican Historyを習っています。
World Historyでは、世界の歴史を網羅的に学びます。
古代文明・中世のヨーロッパに始まり、アフリカ、中国、日本などの古代の歴史と続きます。
イスラム教、キリスト教、ルネサンスと宗教改革あたりまでが7年生で習っていたことです。
課題にはパワーポイントや文章だけのレポートだけではなく、絵をかかせたりデザインをさせたり、というアートの要素をとりいれたプロジェクトがいくつかありました。
世界史に名の残る人について調べ、ポスターをつくるプロジェクト
うちの子はプロジェクトで紫式部について調べ、綺麗な絵とともに仕上げました。制作中は楽しそうですし記憶にも残っていいですね!
American Historyは主にアメリカの先住民族の歴史から植民地時代にはじまり、独立戦争、南北戦争あたりを中心に習います。
先住民族の文化や生活について、戦争の要因や戦術、当時の政策や制度についてなど、ビデオをみたり物語を読んだりしながら全体の様子と理解を深める授業になっているようです。
アメリカでは暗記型の勉強は少ないようですし、年表の暗記もありませんでした・・・。
でも!
このクラスのもう一つの大きな目標は、世界の国名を覚えることだったんです!
7年生の終わりには193の国名と位置を覚えてほとんどのクラスメイトが見事テストにもパスしました!
Science:科学
アメリカの中学校でScienceの授業では、一般的に物理、化学、生物学の基礎が教えられます。
生物学では細胞、遺伝子、進化などが、化学では元素、物質の性質などが、物理学では力、エネルギー、波動などが取り上げられます。
Physical Education (PE):体育
アメリカの中学校の体育(Physical Education、PE)の授業では、運動技能の向上、健康的なライフスタイルの促進、スポーツマンシップの育成が重視されます。
- スポーツ:バスケットボール・バレーボール・ランニングなど
- 健康:フィットネス・ストレッチ・筋力トレーニング
- スポーツマンシップ:協調性・エチケット・リーダーシップなど
毎日ジョギングに始まり、週に3日はフィットネスセンターでの筋トレ、週2日は他のスポーツをしています。
マイル・ラン(1.6km走)や運動能力テストも定期的にあります。
運動能力テストとは?
運動能力テスト(Physical Fitness Test, PFT)では、生徒の健康状態や運動能力を測定します。
適切な健康管理とアクティブなライフスタイルを習慣にすることを目的としています。
- ペイサーテスト(Pacer Test):所定の時間内にスタートラインとフィニッシュラインを往復する回数を計測するテスト。持久力を測るために実施される。
- 柔軟性テスト(Flexibility Test):体の柔軟性を測定するために実施される。床に寝転んで脚を伸ばし、足先を手で掴んで引っ張り、どこまで足が伸びるかを計測する。
- 握力テスト(Grip Strength Test):手の力を測定するために実施される。器具を握って力を計測する。
- BMI:体重・身長計測:身長や体重を計測することで、BMI(身体質量指数)を算出する。
興味深い選択科目
必須科目に加え、生徒が自分の興味や能力に合わせて選択できる科目があります。
うちの子の学校では、二つの選択科目をとることができます。
- 選択科目-1:Elective course
- 選択科目-2:Support and Enrichment Opportunities (SEO)
選択科目-1:Elective Course
選択科目-1(Elective)はちゃんと採点され通知表に成績が残ります。1年間毎日活動しながらスキルを高めたりチームワークを養うことができる実践的なクラスです。
選択科目-1(Elective)の選択肢の例
- ASB (Associated Student Body): 生徒会
- TA (Teacher’s Aide or Teacher’s Assistant):先生の補助
- Art:美術
- Band:マーチングバンド、ブラスバンド
- Choir:コーラス
- Foods:食物と栄養
- STEAM :科学・技術・工学・芸術・数学
ASB : 生徒会
ASB(Associated Student Body)は、アメリカの生徒会のことで、学校のイベントや活動の企画・運営を行っています。
生徒会は先生からの推薦が必要ですが、成績が良い事はもちろん、計画的に行動できる、協力的である、またはリーダーシップをとれるなどの素質が重要視されます。
学校内の改善案を提出したり、校内の様々なイベントを考え実行していくなかで、企画力、チームマネージメント、問題解決スキルなどが育ちます。
校内だけでなく地域のためのボランティアや問題解決に向けた活動なども行っています。
特にアメリカではこういったリーダーシップのスキルは高く評価されます!
TA:先生の補助
T.A.は日本の中学ではなじみがないと思いますが、先生のアシスタントとして授業の準備などの手伝いをします。
授業資料のコピー、課題の採点、プレゼンテーションの作成などをお手伝いすることもあります。
Art:美術
スケッチ、水彩や油絵など、様々な素材を使って絵をかいたり、立体的な作品を制作します。
色に関する基本的な知識やデザインの勉強もしています。
Band:マーチングバンド、ブラスバンド
うちの子の中学校のバンドは、部活などの課外活動ではなく選択科目のひとつとして扱われているので、授業中に毎日練習ができます。
楽譜を読む、個人の楽器の演奏、バンド全体で音を合わせるなど、スキルの向上とチームワークを育みます。
うちの子はバンドでフルートを練習しています。コンサートや地域のパレードに参加したり、高校生バンドとの交流もあって、とても充実しています!
コンサートやパレード等での演奏体験は大きく評価されます。
Choir:コーラス
コーラスのクラスでは、楽譜、音楽理論、音楽表現などを幅広く学びます。声楽の基礎や表現の仕方などを学びます。
合唱曲を練習し、コンテストに参加することもあります。学校の行事やコンサートなども大きな発表の場になります。
Foods:食物と栄養
家庭科や栄養学の一環として教えられている科目です。
- 健康的な食生活について
- 食品の栄養価や成分について
- 料理の基本的な技術や調理法
- 食品衛生や安全について
などについて学びます。
健康的な食事のプランを作成し実際に調理、試食したり、グループで料理コンテストを行ったりします。
STEAM :科学・技術・工学・芸術・数学
STEAMは、アメリカの学校で人気のある教育プログラムです。
STEAMとは?
- Science(科学)
- Technology(技術)
- Engineering(工学)
- Arts(芸術)
- Mathematics(数学)
の頭文字を取ったもので、これらの分野を総合的に学ぶことで、創造性や問題解決能力を育て、将来に必要なスキルを身につける教育のことを指します。
中学のSTEAMのクラスでは、ロボットの設計、Legoを使った建物のモデリング、空気ロケット打ち上げなど、様々なプロジェクトを行っています。
それぞれ生徒たちが設計・製作、組み立てを行い、実践の中で科学や技術を学んでいきます。
自分たちのデザインしたものを立体的に作成する3Dプリンターも人気があります。
環境問題も大きな関心を集めているので、地域の環境に関する課題とその解決策を話し合ったりもしています。
このクラスに限らず、あらゆる教科でSTEAMの要素は取り入れられています。
選択科目-2:SEO
選択科目-2のほうは、Support and Enrichment Opportunities (通称SEO)とよばれます。
趣味&クラブ活動的な役割で、通知表での評価はありません。
普通のカリキュラムには含まれないクラスが多く提供され、うちの学校では週に4日の活動となっています。
学期ごとに科目を変更できるし、学期によって活動が変わったりしてバラエティに富んでいます。
選択科目-2(SEO)の選択肢の例
- Music Appreciation : 音楽
- Chess:チェス
- Outdoor Sports:アウトドアスポーツ
- Board Games :ボードゲーム
- Painting:ペインティング
- Math & English Support:数学または英語のサポート
色々な選択肢がありますよね!
通常の授業とは異なり、よりリラックスした自由な形式で行われ、生徒たちの自己表現や創造力を発揮できる場でもあります。
昨年はマンガを書くクラスがあって、娘のグループはストーリー作りからコマ割、絵を描くところまで1学期をかけて挑戦していました!
成績がおもわしくない生徒や、宿題が滞っている生徒たちは、お楽しみの代わりにこの時間をつかって、サポートをもらったり課題を進めたりします。
こういったサポートシステムが整っているのはいいですね!
まとめ
うちの子が通うカリフォルニア州の公立中学校の例をとって、アメリカの中学校の授業科目とそれらの主な内容を紹介しました。
必須5科目 + 選択2科目で構成されている時間割ですが、なかなか興味深い内容ですよね。
育ち盛りのこの時期に、頭も体もしっかり鍛え、さらに興味を広げ自主性を伸ばそうというバランスのとれた時間割ではないかと思います!
あらゆる活動を通じて、リーダーシップ、協調性、コミュニケーションスキルなどを身につけながら力強く育っていく子供の姿をみるのは親としても嬉しいばかりです。
アメリカの中学校の授業科目と特徴の理解を、子供達が前向きに授業に取り組むためのサポートに役立ててくださいね!
日本の歴史についても習っていましたが、英語で書かれた日本の古代史はなかなか面白かったです。