こんにちは カリフォルニア在住のひっきーままです。
昨年の春の終わりから何だか腕がだるいと感じはじめました。
すると一か月もたたない間に激痛にかわり、わけがわからない間に 右腕を上げることができなくなってしまいました。
これが私の五十肩の始まりでした。
あなたは五十肩のことを「肩こりがひどくなったやつでしょ」と思っていませんか?
私はそう思っていました。。。五十肩のことを全く誤解していました。
今日は私のようにアメリカで急に肩が動かなくなってしまい「どうしよう?」「なにをしたらいいの?」と戸惑っているあなたへ、アメリカでの五十肩の治療のながれについてお話します。
私が肩の痛みをかかえながら調べて知った事や医者から学んだ事が、肩の痛みと闘っているあなたのお役に立てたらと思います。
私の五十肩の治療、リハビリの様子は「アメリカで五十肩のリハビリ!フローズンショルダー奮闘記」をご覧ください。
日本とアメリカでの五十肩の認識の違い
日本では50歳ちかくになって肩が痛くなってくるとまずは「五十肩じゃないの?」と言われるほど、誰もがその名は知っていますよね。
ですが、アメリカでは意外に知られていないのです。
五十肩は関節痛の一種で医学的には肩関節周囲炎といわれます。
一方アメリカで五十肩は「Frozen Shoulder」とよばれています。
医学的には「Adhesive Capsulitis」といいます。
日本 | アメリカ | |
一般名 | 五十肩 | Frozen Shoulder |
医学名 | 肩関節周囲炎 | Adhesive Capsulitis |
加齢とともに自然におこるという認識でしたが、医者にはケガや何かが関わっていることが多いと言われました。
アメリカでの認知度は驚くほど低くて驚きました。
私が「Frozen Shoulderと診断されてセラピーに行っている」と言っても、「それなに?」とか「へー、なんか聞いたことある」みたいな反応で、日本のような「50代あるある」とは全く違った印象をうけました。
五十肩とはなんぞや?
そもそも五十肩とはいったい何なのか?
五十肩(肩関節周囲炎)は、肩の関節に炎症が起こり痛みが生じるものです。
筋肉疲労や血行不良が原因でおこる肩こりとは全くの別物です。
- 激しい痛みをともなう
- 肩関節に炎症がおこる
- 肩関節とその周囲の組織が癒着して硬くなる
- 組織の硬直と痛みにより動きが制限される
「自分の肩はなんでこんなに痛いの?」と不安に思いますよね。
まずは医者に診てもらうことが一番です。
なぜかというと、肩の痛みには色々なものがあるからです。自己診断で間違った治療をすると悪化することにもなりかねません。
まずは五十肩の症状、そして肩の痛みから想定できる五十肩以外の炎症について知っておきましょう。
医者にかかる前の知識として知っておくと診察時に話をしやすくなります。
五十肩の主な症状
肩の痛みにはじまり、突然痛くて腕が上がらなくなることが多いようです。
激しい痛みが続くと日常生活に困難をきたします。
- 背中に手が回せない
- 高いところに手が届かない
- 着替えができない
- 歯磨きができない 。。。など
肩の動きが極端に制限され、不便なことこの上ないです。
また痛みがひどい時には夜もゆっくり眠れません。そして最悪なのが朝起きぬけの痛みです。
五十肩に似た肩の痛み
肩の痛みは五十肩だけとは限りません。
肩に激しい痛みがあり、腕が上がらなくなる という症状は「五十肩」のほかにも「インピンジメント症候群」や「腱板断裂」でもあらわれます。
似た症状ではありますが、この三つにはちょっと違いがあります。
インピンジメント症候群
肩を動かすときに肩関節の骨と骨、または筋肉が衝突して炎症が起きます。
- 自分で腕をあげることができる
- 腕をあげる途中のある角度にだけ痛みがあり、あげ切ってしまえば痛くない
- 夜間痛が起こることもある
放っておくと腱板断裂になる可能性もあるので早めの診断が必要です。
腱板断裂
肩の腱板という部分が損傷し、摩擦によって切れてしまい痛みを引き起こします。
- 力が入りにくくなるため自分で腕をあげることができない
- 痛むが他人に腕をあげてもらうことはできる
(肩の組織が硬くなるわけではない) - 炎症により眠れないほど痛むことがある
五十肩
肩関節の周囲の組織が炎症をおこし、痛みを伴います。肩の動きが極端に制限されます。
- 肩が硬くなり腕があがらなくなる
- 他人に腕をあげでもらうこともできない
(痛みのせいだけではなく、実際に肩関節の周囲が固まっている) - 腕を動かさなくても痛みがあり、夜間痛もある
三つの違いを一覧表にしてみました。
腕と肩の動き | 痛み | |
インピンジメント症候群 | 自分で腕をあげることができる | 腕をあげる途中の一定の角度だけに痛みがあるが、あげ切ってしまえば痛くない |
腱板断裂 | 自分ではあげられないが、他人に腕をあげてもらうことはできる | 眠れないほどの痛みがある。 腕をあげたときに痛みがある。 |
五十肩 | 自分でも他人でも腕をあげることができない | 動かさなくても痛い。 動かすと激痛がある。 |
このように大きな違いは肩の動き具合とその痛みかたです。
これらの違いから大体の見当は付けることができると思いますが、実際になんであるかによって治療法もかわってきます。
まずは早期の段階で医師への診断を強くお勧めします。
五十肩 三つのステージ
五十肩が発症してから治癒するまでには1年から2年程度かかると言われています。
ですがこの間ずっと激痛に悩まされるわけではありません。
五十肩の進行と経過には三つのステージがあり、それぞれの症状や対処法があります。
- 急性期 Freezing Stage
- 慢性期 Frozen Stage
- 回復期 Thawing Stage
痛みぐあいと肩の動きによって自分がどのステージにいるのかがわかります。
日本薬師堂のサイトを参照して学んだ三つのステージを表にしました。
ステージ | 時期 | 症状 | 対処法 |
急性期 Freezing Stage | 発症間もなくから2-8週間程度 | 肩は動くが、 痛みが強い。 激痛あり。 Pain > Stiffness | 安静にして痛みを和らげることを優先 |
慢性期 Frozen Stage | 6か月程度 | 痛みはあるが激痛は減る。 肩の動きが制限される。 Stiffness > Pain | 痛みが和らいできたら肩をほぐしたりストレッチを始める。 可動域を広げる、筋力を維持する。 |
回復期 Thawing Stage | 1年以上 | 痛みは軽減。肩の硬直感がやわらぐ。 | 積極的にストレッチと筋力回復のエクササイズを行う。 |
ステージごとの対処法を正しく行うことで症状の悪化を防ぎます。
五十肩の診察と治療の流れ
肩が動かなくなったらなるべく早く医者に行くことをお勧めします。
その理由は、行きしぶっている間に最適な治療の時期を逃したり、初期の誤った運動等が原因で症状を悪化させることもあるからです。
激痛を伴う初期ステージに医者に診てもらえれば、その痛みを軽減させる治療法を知ることもできます。
医者の診断をもとに適切な治療を根気よく続けて五十肩の痛みの軽減や早期回復を目指しましょう!
アメリカでの五十肩の治療の流れはこのとおりです。
- Primary Care Doctor
- Physical Therapy
- Orthopedic (optional)
- Self-treatment (自己管理と自宅でのエクササイズ)
Primary Care Doctor で すること
日本で肩が痛い時には まず整形外科への受診を考えますが、アメリカでは通常どこが痛くてもかかりつけの家庭医、Primary Care Doctor、にまず見てもらいます。
保険の種類によって医者や病院のネットワークやシステムが違うので一概には言えませんが、一般にはPrimary Care Doctorを受診し、その後紹介された専門医へかかることになります。
Primary Care Doctorは簡単な問診と肩の動きをチェックして、必要と認めた専門医を紹介してくれます。
肩の痛みの場合、Physical Therapy(理学療法)かOrthopedic(整形外科)を紹介されることになります。
Physical Therapy で すること
Physical Therapyとは理学療法のことで、ケガや病気で不自由になった体の動きや回復をサポートします。いわゆるリハビリ専門の医療施設です。
ここでの治療はセラピーとよばれます。
整形外科のような注射や手術は行いません。
セラピーをしても五十肩が急によくなるわけではありません。
治癒するまでの間に必要な筋力を維持して腕の可動範囲を少しずつでも広げていくことが治療目的となります。
Physical Therapyの初診では、肩の可動幅の計測等を行います。
私はここでセラピストから「Frozen Shoulder」、五十肩と診断されました。
もし違う診断をされたら、Orthopedic(整形外科)を紹介されたり、その症状に合う別の治療法を提示されます。
Physical Therapyでの主な治療内容はマッサージ、ストレッチ、筋トレエクササイズです。
マッサージ:
首から肩甲骨あたりまでをじっくりほぐしてもらいます。
肩と腕の筋肉も軽くほぐしてもらえます。
全身が軽くなるようで、私の何よりの楽しみとなりました!
ストレッチ:
縮こまった関節の更なる硬直を防止するためのストレッチを行います。
腕の可動範囲を維持する、または広げていくことが目的です。
ことに初期は痛みの緩和を優先するので、無理に動かすことはしません。
肩にテーピングをしたりしながら徐々に慣らしていく感じでした。
痛みが随分なくなったころには、ゴムや棒を使って、腕をいろいろな方向へ動かすためのストレッチをしました。
筋トレ:
痛みが治まったころから始まります。
腕を動かさないでいると、その周りの筋肉が弱くなっていくんです。
いつかは自然治癒するといわれる五十肩ですが、せっかく肩の炎症がなくなっても、その時にすっかり筋力が落ちていてはその後の回復に時間がかかります。
衰えた筋肉の回復や筋力維持をするために筋トレが必要なのです。
とはいえ家でもできる簡単なものばかりで、なかなか楽しいです。
これらのリハビリメニューを中心に週に一度か二度のセラピーを行います。
Orthopedic(整形外科)で すること
もし肩の痛みの原因がちがうところにあり、更なる検査が必要な場合はOrthopedic(整形外科)を紹介されます。
Orthopedic(整形外科)ではレントゲン検査やエコー検査もできます。
必要に応じて痛み止めの注射や手術を行うこともあります。
五十肩であったとしても、症状や痛みの度合いによっては整形外科を勧められることもあります。さらに、改善が見られない場合の肩の手術もOrthopedicが行います。
私の担当医も、本当に初期で激痛の患者さんには注射を勧めていると言ってました。
痛みの軽減に効果的で肩も早く動くようになるけど、効果が短期的である場合が多いということでした。
私は結局Physical Therapy一択でしたが、ひどい五十肩の痛みがとれずOrthopedicで注射を二度うってもらったという人もいます。
Self Treatment でできること
Physical Therapy や Orthopedic は五十肩の痛みの軽減と治療に大きく役立ちますが、五十肩の炎症がすぐに消えてなくなるわけではありません。
完治するまでには長い月日がかかります。その間は家でもできる限り自身の健康管理と肩のサポートをしていく必要があります。
ストレッチ&エクササイズ
腕が伸びない、上がらないうちはストレッチもなかなか大変ですが、できることを少しでもいいから続けることです。
家でもできる五十肩の進行具合に合わせたストレッチと筋トレの様子はアメリカで五十肩のリハビリ!フローズンショルダー奮闘記で紹介しています。
セラピストは家でもできる様々なエクササイズを知っています。遠慮せず色々教えてもらって家でも続けられるように頑張りましょう!
私のセラピストは、「一つの目的を達成するためのエクササイズはいくつもあるから、自分の痛みや気分に合わせて好きなものを組み合わせてやったらいい」と言っていました。
まとめ
五十肩とは何なのか、アメリカではどういう治療が行われているのかをお伝えしました。Frozen Shoulderという名前、頷けますね。
痛みがひどい間は安静が一番です。あせって無理に動かそうとするとかえって痛みが増す原因になります。
五十肩かな?と思ったらまずはかかりつけのPrimary Care Doctorに診てもらいましょう。アメリカでは直接専門医に行ってみてもらうことは極めて少ないのです。
それからアメリカの医者の予約待ちは異常に長いことが少なくありません。なので痛みを我慢せずに早急に医者に連絡を取ることをお勧めします。
今日は私が五十肩の痛みの中で学んだ事を同じような状況で苦しんでいるかたにシェアできたらと思って書いてみました。
急な肩の痛みに戸惑いを感じている、アメリカで五十肩の治療をさがしているあなたのお役に立てたら嬉しいです。
肩の痛みにはこれ!などとYouTubeで勧められているからといって自己判断でやってみたエクササイズが逆効果になることもあるので要注意です。